[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

研究室でDIY!~光反応装置をつくろう~

[スポンサーリンク]

有機反応開発の世界では、可視光レドックス触媒反応が大ブームです。筆者のグループも例外ではなく、毎日容器に光を当てる日々。やってみるとそれなりのノウハウがいることもわかりました。ふとしたことで再現性がでなかったり、ランプの選び方が重要だったり・・・簡単そうに見えるので安直に手を出してみたのですが(笑)。

よりよいセットアップを目指した一環として、名古屋大学・伊丹研究室村上慧先生および株式会社ケイ•アイ研究所の有末芳さんから、自作の光反応装置(冒頭図)についてご教授頂きました。先日Chem誌に掲載されていた、素晴らしいお仕事に使われた装置です。ご厚意のもとケムステ上での公開許可も頂きましたので、詳しい作り方を紹介します!光触媒反応に取り組む化学者にとって、広く有益な情報となれば幸いです。

光反応装置のつくりかた

1.用意するもの

下記リスト参照。試験管立ては業者かモノタロウで、エーモン製品はオートバックスで、金具やはんだ付けセット一式はホームセンターで 、LED関連製品は秋葉LEDピカリ館などの通販サイトで購入できます。

※1三商のねじ口遠沈管 丸底10mL(Φ16.5mm) 用のサイズです。マルエムNN-13には、穴数2x12(Φ13.5mm)が適合品です。
※2 ステンレスは熱伝導率が低くてLEDの熱が逃げにくい(使用中はかなり熱くなります)ので、アルミか銅のプレートがあればそちらの方が良いです。寸法図はこちらのPDFを参照。
※3 プレートが薄い(厚さ2mm)ので普通のさら小ネジM4では規格上ネジの頭が出っ張ります(使用上は問題ないので代用可)。詳細は左記ネジ資料(PDF)を参照:さら小ねじ(小頭)さら小ねじ
※4 防水用に固めてある樹脂部分はシリコーン製で、アセトンがかかっても大丈夫なようです(試して確認しました)。

2.テープ LEDの加工

テープ LEDをハサミで適当な長さにカットします。50mm 単位で切れるようになってます(目印付き)。試験管立てに合わせるには200mm でカットすると丁度良い長さです。システム出力は3本で8.64W になります。

3.テープ LEDの配線

防水樹脂用カッターなどで少し剥いで、接点を露出させます。接点部分と DC ジャックケースをハンダ付けし、テープ LEDの両端に熱収縮チューブを被せて絶縁しておきます。ハンダ付けする際はテープ LEDのプラス側を赤のケーブルと、マイナス側を黒のケーブルと接続します。詳しくはこちらのweb ページを参照して下さい。これを3本用意します。

4.取付金具の組立てとテープLEDの貼付

ステン巾広プレート IH-115とエーモンステンレス金具S623を、下図の容量でエーモンステンレス金具S612に取り付けます。IH-115はM4さら小ねじ(小頭)で、S 623はM6ボルトで固定します。

取付金具を組み立てたら、IH-115に3.で配線したテープ LED3本を貼付します(左右の向きはご自由に)。テープLED付属の両面テープはあまり強くないようなので、必要に応じて接着剤やホットボンドなどで固定します。

5. 試験管立てとLED光源部の組み付け

試験管立ての穴を利用して、LED光源部を試験管立ての裏側からエーモンステンレス金具S623で挟み込む用に固定します。試験管立ての中板の穴には、見てくれは悪いですがビニールテープを貼ってLEDの照射範囲より下に試験管が落ちないようにしておくとよいでしょう。これで装置本体は完成です。

DCジャックケーブルをそれぞれ分岐テーブルに接続し、ACアダプターとつないでコンセントに差し込むとLEDが点灯します。かなり強力な光源なので、直視しない方が良さそう。6.使用上の注意

周縁部におけるLEDの照射ムラを考慮して、試験管立ての両端を除いた8箇所(下図の赤丸部)を反応に使うと、再現性の問題が起きづらい気がします。この距離でΦ13mm の試験管中のアセトニトリル2mLに、16-18時間LEDを照射したときの液温は、31ー33℃程度でした(3反復で確認)。

テープLEDの端がきちんと絶縁されていない場合、遮光用のアルミホイルを上から被せた時にショートして素子がダメージを受けることがあります。絶縁処理しておくことが望ましいですが、されていない場合は絶縁体(キムワイプ、ビニールテープ、パラフィルムなど)をテープLED末端に巻いて端子とアルミホイルが接触しないようにしてください。

参考文献

ケムステ内関連記事

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 【24卒 化学業界就活スタート講座 5月15日(日)Zoomウェ…
  2. バイオ触媒によるトリフルオロメチルシクロプロパンの不斉合成
  3. 光触媒ラジカルカスケードが実現する網羅的天然物合成
  4. 人生、宇宙、命名の答え
  5. なれない人たちの言い訳(?)-研究者版-
  6. Chemical Science誌 創刊!
  7. ヤモリの足のはなし ~吸盤ではない~
  8. 話題のAlphaFold2を使ってみた

注目情報

ピックアップ記事

  1. ケー・シー・ニコラウ K. C. Nicolaou
  2. 研究者版マイナンバー「ORCID」を取得しよう!
  3. 眼精疲労、糖尿病の合併症に効くブルーベリー
  4. (S,S)-DACH-phenyl Trost ligand
  5. ブラウンヒドロホウ素化反応 Brown Hydroboration
  6. かぶれたTシャツ、原因は塩化ジデシルジメチルアンモニウム
  7. Nature Chemistry誌のインパクトファクターが公開!
  8. Reaction Plus:生成物と反応物から反応経路がわかる
  9. キラルオキサゾリジノン
  10. 熱や力で真っ二つ!キラルセルフソーティングで構築されるクロミック二核錯体

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年7月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

MDで観るトライボロジー 〜原子が擦れるその場をシミュレーション〜

軽くて強いのに摩耗に弱いチタン合金は、航空機や人工関節に広く使われています。原子が擦れ合うその場を分…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP