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ギルバート・ストーク Gilbert Stork

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ギルバート・ストーク(Gilbert Stork、1921年12月31日-2017年10月21日)は、アメリカの有機化学者である。米コロンビア大学名誉教授(写真:東京大学理学研究科)。

経歴

1921年ベルギーのブリュッセルに生まれる。

1942 フロリダ大学 卒業
1945 ウィスコンシン・マディソン大学 博士号取得 (Samuel M. McElvain教授)
1946-1948  ハーバード大学 インストラクター
1948-1953  ハーバード大学 講師
1953-1955  コロンビア大学 助教授
1955-1967  コロンビア大学 教授
1967-1993 コロンビア大学 ユージーン・ヒンギス教授
1993-   コロンビア大学 名誉教授

受賞歴

1957 ACS Award in Pure Chemistry
1959 Guggenheim Foundation Fellow
1961 Baekeland Medal
1962 Harrison Howe Award
1966 Edward Curtis Franklin Memorial Award
1967 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
1971 Synthetic Organic Chemical Manufactures Association Gold Medal
1973 Nebraska Award
1978 Roussel Prize
1980 Nichols Medal,
1980 アーサー・C・コープ賞
1982 Edgar Fahs Smith Award
1982 Willard Gibbs Medal
1982 National Academy of Sciences Award in Chemical Sciences
1983 National Medal of Science
1983 Pauling Award
1985 Tetrahedron Prize
1986 Remsen Award
1986 Cliff S. Hamilton Award
1987 Monie A Ferst Award and Medal
1991 ロジャー・アダムス賞
1992 George Kenner Award
1992 Robert Robinson Lectureship
1992 Chemical Pioneer Award
1993 ウェルチ化学賞
1994 Allan R. Day Award
1995 ウルフ賞
2002 D. H. Barton Medal
2003 野依賞

 

研究概要

エナミンを用いる有機合成法の開拓

1954年にはじめてエナミンとハロゲン化アルキルからアルキル化されたケトンを合成し、現在ではStorkのエナミン合成として知られている[1]

n-on-13.gif

エノラートの化学

エノラートの単離からはじまり、ケイ素試薬の合成化学的な利用を促した。

1. シリルエーテルの合成[2]

エノラートをTBS基で補足しトラップしケトンからシリルエーテルを合成、その後MeLiと反応させることでリチウムエノラートを生成

2. Stork-Danheiser 合成 [3]

3. Stork-Ganem試薬[4]

4. Stork-Colvin試薬[5]

 

キニーネの立体選択的合成

ウッドワードの合成以来手つかずであったキニーネの立体選択的合成を世界で初めて成功させた。[6]

mol_quinine_1.gif

名言集

 

コメント&その他

  • 1979年から合成を開始し2000年まで15名の学生と多数のポスドクが関わった天然物ゲルミンの合成研究。一度は断念したが、2010年から遺作として考え、再び研究を開始しました。残念ながら全合成には至りませんでしたが、 (±)-4-methylenegermine の合成をOrganic Letterに報告しました(記事:Gilbert Stork最後の?論文)。残念ながらこれが本当の遺作となってしまいました。ご冥福をお祈りいたします。
  • 中村栄一先生、Jeffery D. Winkler, Varinder K Aggarwalの連名でAngewante, Int. Ed.誌に追悼記事が掲載されています。DOI:10.1002/anie.201711474

関連動画

 

関連文献

  1. (a) Stork, G.; Terrell, R.; Szmuszkovicz, J. J. Am. Chem. Soc. 1954, 76, 2029. DOI: 10.1021/ja01636a103 (b) Stork, G.; Landesman, H. J. Am. Chem. Soc. 195678, 5128. DOI: 10.1021/ja01600a087 (c) Stork, G.; Brizzolara, A.; Landesman, H.; Szmuszkovics, J.; Terrell, R. J. Am. Chem. Soc. 196385, 207. DOI: 10.1021/ja00885a021
  2. (a) Stork, G.; Hudrlik, P. F. J. Am. Chem. Soc. 1968. 90, 4462. DOI: 10.1021/ja01018a051 (b) Stork, G.; Hudrlik, P. F. J. Am. Chem. Soc. 196890, 4464. DOI: 10.1021/ja01018a052
  3. Stork, G.; Danheiser, R. L. J. Org. Chem. 1973, 38, 1775. DOI: 10.1021/jo00949a048
  4. Stork, G.; Ganem, B. J. Am. Chem. Soc. 1973, 95, 6152. DOI: 10.1021/ja00799a072
  5. Stork, G.; Jung, M. E. J. Am. Chem. Soc. 1974, 96, 3682. DOI: 10.1021/ja00818a070
  6. Stork, G.; Niu, D.; Fujimoto, A.; Koft, E. R.; Balkovec, J. M.; Tata, J. R.; Dake, G. R. J Am Chem Soc 2001, 123, 3239. DOI: 10.1021/ja004325r

関連書籍

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外部リンク

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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