[スポンサーリンク]

医薬品

トラネキサム酸 / tranexamic acid

[スポンサーリンク]

toraneki2.gif最近とある会社の美白化粧品等に「トラネキサム酸」配合って記載されてますけどこれって一体どういう効果があるの?なんて疑問に思ったことありませんか。一言でいうと「美白効果」があります。


シミの部位には炎症状態にある細胞が、正常部位より多く存在しています。炎症状態の細胞と言いましても、それらは目に見えるものではありません。シミ部位ではメラニンを作り出す細胞が常に活性化されており、メラニンの過剰生成が持続していると考えられています。トラネキサム酸はシミ部位の炎症に作用し、メラニンを作りだす細胞の活性化を抑制する働きがあります。さらに、トラネキサム酸は直りにくいとされてきたシミである肝斑の改善に効果があります。トラネキサム酸入りの肝斑の市販薬としては、第一三共ヘルスケアが販売している「トランシーノ」があります。

さてさて、トラネキサム酸はもともと出血を止める薬の成分として用いられていました。さらに、湿疹などの皮膚の病気、口内炎や扁桃腺炎などの炎症などの治療にも用いられていました。これら二つの効能を利用した賢い商品があります。それは歯磨き粉です。トラネキサム酸は歯磨きの時に、歯茎からの出血を防ぎ、さらに歯茎の炎症を抑える働きをしています。
構造は単純ですけど、美白、炎症、止血と多くの優れた効果を示すトラネキサム酸はすぐれものですね。

  • 関連書籍
  • 関連商品
  • 関連リンク
歯周病菌と戦うサンスターGUM(ガム)

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 亜鉛クロロフィル zinc chlorophyll
  2. ギ酸 (formic acid)
  3. ミノキシジル /Minoxidil
  4. カルボプラチン /carboplatin
  5. フッ素ドープ酸化スズ (FTO)
  6. オーラノフィン (auranofin)
  7. ジンクピリチオン (zinc pyrithione)
  8. チエナマイシン /thienamycin

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機合成化学協会誌7月号:ランドリン全合成・分子間interrupted Pummerer反応・高共役拡張ポルフィリノイド・イナミド・含フッ素ビニルスルホニウム塩・ベンゾクロメン
  2. ジフェニルオクタテトラエン (1,8-diphenyl-1,3,5,7-octatetraene)
  3. 第62回「分子設計ペプチドで生命機能を制御する!!」―松浦和則 教授
  4. 第97回日本化学会春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part III
  5. Stadtfriedhof (ゲッチンゲン市立墓地)
  6. 大学入試のあれこれ ①
  7. 1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物:1,2,3,4-Cyclobutanetetracarboxylic Dianhydride
  8. 三共、第一製薬が統合へ 売上高9000億円規模
  9. 特殊ペプチド Specialty Peptide
  10. 金属を使わない触媒的水素化

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2023/12/06 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

プロトン共役電子移動を用いた半導体キャリア密度の精密制御

第582回のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) ナノアーキテクトニクス材料研究…

有機合成化学協会誌2023年11月号:英文特別号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年11月号がオンライン公開されています。…

高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた

久々の、試してみたシリーズ。今回試したのはアドビオン・インターチム・サイエンティフィ…

細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発

第581回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

カルロス・シャーガスのはなし ーシャーガス病の発見者ー

Tshozoです。今回の記事は8年前に書こうと思って知識も資料も足りずほったらかしておいたのです…

巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物の発見 ―水素層と酸素層の協奏効果―

第580回のスポットライトリサーチは京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 陰山研究室の難波…

2023年度第1回日本化学連合シンポジウム「ヒューメインな化学 ~感覚の世界に化学はどう挑むか~」

人間の幸福感は、五感に依るところが大きい。化学は文明的で健康的な社会を支える物質を継続的に産み出して…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP