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光延反応/Mitsunobu Reaction

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⏱ 30秒サマリー

  • 何をする反応か — アルコールをホスフィンとアゾジカルボン酸エステルでその場で活性化し、酸性プロトンをもつ求核剤と一段階で縮合させる。
  • 何ができるか — 立体配置が反転したエステル・エーテル・スルホンアミド・チオエーテルなど、C–O/C–N/C–S 結合をもつ化合物。
  • いつ使うか — 第二級アルコールの立体を1工程で反転させたいとき、また求核性の低い窒素源(スルホンアミド等)を使って過剰アルキル化を避けたいとき。

概要

光延 旺洋(みつのぶ おうよう)が向山光昭・山田正らとともに1967年に報告した、アルコールの酸化還元縮合反応。 福山透らのノシルアミドを求核剤として用いる変法は、慣用的に福山–光延反応と呼ばれる。[1][2][26]

光延 旺洋

アルコールを、ホスフィン(通常トリフェニルホスフィン, Ph₃P)とアゾジカルボン酸エステル(DEAD, DIAD など)で活性化し、酸性プロトンをもつ求核剤(pro-nucleophile)と縮合させる。第二級アルコールでは 活性化された炭素に求核剤が背面から攻撃するため、原則としてSN2機構による立体反転を伴う。[1][2][3]

カルボン酸を求核剤とすればエステルが得られ、続くアルカリ加水分解によって配置が反転したアルコールへ変換できる。 求核剤はカルボン酸に限らず、フェノール、イミド、スルホンアミド、チオール、複素環塩基などが利用でき、 C–O・C–N・C–S 結合形成に広く用いられる。[4][7][8][9][12]

温和かつ中性に近い条件で進行するため、天然物・医薬品などの複雑分子合成に頻用される。一方で、 ホスフィンオキシド(Ph₃P=O)とヒドラジンジカルボン酸エステルが等モル量副生し、これらの極性が生成物と近いことが多いため、TLCでの検出と精製が煩雑になりやすい。分離を容易にするための試薬設計はそれ自体が一つの研究領域となっており、総説にまとめられている。[5][6][39][40]

反応機構

古典的には「①ホスフィンがアゾ試薬に付加してベタイン(Morrison–Brunn–Huisgen 型双性イオン)を生成 → ②プロ求核剤によるプロトン化 → ③アルコールが活性化されてアルコキシホスホニウム塩を形成 → ④求核剤アニオンによるSN2置換で立体反転」と説明される。

この骨格自体は現在も支持されているが、 1980年代以降の³¹P NMR・ESI-MS による中間体観測と近年の総説により、 実際には複数の中間体が競合する系であることが明らかになっている。[11][13][14][15][16] 主要な中間体として、プロトン化ベタイン、アルコキシホスホニウム塩、ジアルコキシホスホラン、 (アシルオキシ)アルコキシホスホラン、アシルオキシホスホニウムが提案され、 いずれも³¹P NMR等で観測例が報告されている。[11]

実務上重要なのは、どの中間体が主役になるかが添加順序・酸の強さ・溶媒極性で変わるという点である。[11][13][15]

  • カルボン酸を先に加える標準的な操作では、プロトン化ベタインを経てアルコキシホスホニウムが主中間体となり、 立体反転が得られやすい。
  • アルコールを先に加えると、P上アキラルなジアルコキシホスホランが優先的に生成し、 ラセミ化・保持生成物の原因になりえる。[11]
  • 過剰のカルボン酸・強い酸・極性溶媒はホスホランよりアルコキシホスホニウムの生成を有利にする。[15]
  • P-キラルホスフィンをプローブに用いた研究では、強い酸ほど生成するホスフィンオキシドの光学純度が高いことが示されている。[17]

求核剤の酸性度:アゾ試薬–ホスフィン付加体の塩基性は高くないため、求核剤には酸性プロトンが必要である。 慣用的には「pKa < 13」という目安が広く用いられているが、角田鉄人らは新試薬の開発動機として 「従来の光延反応はpKa 11未満の求核剤にしか満足に適用できない」と記している。[29] すなわちpKa 11〜13は「進行はするが収率が出にくい」グレーゾーンと理解するのが実際に近い。 単にアルコールを反転させたい場合に、安息香酸(pKa ≈ 4.2)より酸性度の高い p-ニトロ安息香酸(pKa ≈ 3.4)を用いると収率が改善する例が多いのは、この反映と考えられる。[17][42]

近年の計算・速度論研究:Schenkらの2005年のDFT計算は長らく参照されてきたが、 モデルとしてPH₃を用いている点が限界として指摘される。[18] 触媒的変法については、 カルボキシラートとアルコキシホスホニウムの求核置換段階が律速であるとするDFT研究[21]や、 レドックス中性触媒系では脱水速度が全体の律速を支配することを示した速度論解析[22]が報告されている。 2024年の総説はPPh₃系全体を扱う現代的な高精度計算が依然として必要であると結論している。[11]

なお、反応の第一段階であるホスフィンのアゾ化合物への付加は、協奏機構でも一電子移動でもなく Michael型の求核付加として進行することが示されている。[20]

特徴・適用範囲・類似反応との比較

強み
  • 第二級アルコールを1工程で立体反転させられる。スルホン酸エステル化→SN2の2工程法に対する最大の利点。
  • 中性に近い温和な条件で進行し、酸・塩基に不安定な官能基を残しやすい。
  • 求核性の低い窒素源(スルホンアミド、イミド、ウレア)が使えるため、過剰アルキル化を避けたアミン合成が可能。 ノシル(2-ニトロベンゼンスルホニル)アミドを用いる福山–光延法はその代表である。[26]
  • 分子内反応としてマクロラクトン化・複素環構築にも適用できる。[28][36][43][46]
弱み・適用範囲の限界
  • 求核剤の酸性度pKa がおよそ11を超えると収率が低下し、13を超えるとほぼ進行しない。弱酸性求核剤では、活性化されたアルコールをアゾ試薬由来のヒドラジル部位が捕捉したアルキル化ヒドラジン副生成物が主生成物になりうる[38]
  • 第三級アルコールは、通常条件ではほぼ反応しない。
  • 立体障害の大きい第二級アルコール:進行はするが、4試薬すべてを過剰量使う強制条件が必要になる場合がある[42]
  • 塩基性官能基アミン、ベンゾイミダゾール、インドールなど:塩基性の官能基をもつ基質では原料回収に終わる例が報告されている[38]
  • 立体化学の破綻:添加順序・酸の強さ・溶媒によっては保持・ラセミ化が競合する[11]
  • 後処理:Ph₃P=O とヒドラジド副生成物が等モル生じ、極性が生成物と近いことが多い[39][40]
  • 原子効率・スケール:副生物の分子量が大きく、アゾ試薬は輸送・取扱い上の制約がある
求核剤の適用範囲を広げる改良法(角田試薬)

  • ADDP / PBu₃:アゾジカルボキサミド型。DEADのエトキシ基をアミノ基に替えることでヒドラジルアニオンの塩基性を上げ、pKa 11超の求核剤に対応[23]
  • TMAD / PBu₃:同上。第二級アミン合成にも展開[24]。立体障害の大きい第二級アルコールのアシル化にも有効[25]
  • CMBP・CMMP:アゾ試薬なしで単独機能するイリド型試薬。活性メチレン化合物のアルキル化[27]や複素環構築[28]に有効。
類似反応との使い分け
手法 立体化学 使いどころ
光延反応 反転 第二級アルコールを1工程で反転させたい。酸性プロ求核剤が使える
メシル化/トシル化→SN2(求核置換反応) 反転(2工程) 求核剤が塩基性でpKa条件を満たさないとき。Ph₃P=O 除去を避けたいとき
アッペル反応 反転 目的物がハロゲン化物のとき。ヘキサハロアセトン系では一部の第三級アルコールにも適用可
向山酸化還元縮合反応 反転 より広い求核剤を使いたいとき。一部の第三級アルコールでも反転体を与える
フィッシャー・スペイア エステル合成 保持(C–O結合を切らない) 立体制御が不要な単純なエステル化
山口 / 椎名マクロラクトン化 保持(カルボン酸側を活性化) 環化時にアルコールの立体を保ちたいとき
福山アミン合成 (組み合わせて使う) ノシル基でN–Hの酸性度を下げ、光延の適用域に入れる
触媒化・グリーン化の現状

化学量論的な副生物を減らす試みは長く続いている。アゾ試薬を触媒量にする方法(PhI(OAc)₂ を再酸化剤とする系[30]、 鉄触媒と空気を用いる系[31][33])、ホスフィンをシラン還元で再生する系[32]、 さらに両者を統合した「完全触媒系」[32]が報告されてきた。2019年には、 特別に設計されたホスフィンオキシドを有機触媒とし、副生物が水のみというレドックス中性型が報告された。[35]

ただし、触媒的変法をそのまま万能視することはできない。Denton らによる批判的総括[34]は、 (i) 触媒的変法の反応質量効率は13–27%にとどまり競合手法(58–67%)に劣ること、 (ii) 「完全触媒系」の独立再現で収率が報告値を大きく下回り、第二級アルコールでの立体反転がほとんど得られなかったこと、 (iii) 対照実験からヒドラジンが触媒サイクルに関与していないと結論されること、を報告している。

近年はさらに、無溶媒のメカノケミカル条件(ボールミル、10–20分)[36]や、 アゾ試薬を陽極酸化で置き換える電気化学的手法[37]も報告されている。後者は ベタインを経由しないため、従来は酸性度不足で使えなかったアミド・アミン系求核剤が使えるとされる。

反応例

カルボン酸以外の求核剤も用いることができ、さまざまな化合物へと変換される。 以下に例をまとめておく(「有機反応を俯瞰する ーリンの化学 その 2 (光延型置換反応)」も参照) 。天然物合成における光延反応の適用例は2022年の総説に整理されている。[10]

角田試薬(CMBP)を用いる光延反応[27]:pKaが13より大きい弱酸においても光延反応を進行させることが可能。
PhI(OAc)2を再酸化剤にすれば、DEADを触媒量に減ずることが可能。[30]鉄触媒と空気を用いる再酸化系も開発されている。[31][33]
Movassaghiらによって開発されたIPNBSH試薬を用いると、アルコールの脱酸素化が行える(Movassaghi脱酸素化)。

Dentonらによって完全触媒的に進行し、副生物が水のみとなるredox-neutral光延反応が開発された[35]。

Ferrulactone II 対掌体の全合成[46]

ノコギリヒラタムシの集合フェロモンである12員環マクロラクトン Ferrulactone II の対掌体合成において、 (S)-配置のヒドロキシ酸を光延条件で分子内エステル化することで、環化と同時にカルビノール炭素をS→Rに反転させ、 (R,Z)-12-メチルオキサシクロドデカ-4-エン-2-オンを収率63%で得ている。 単一の中間体から両エナンチオマーを作り分けるという、この反応の使いどころを端的に示す例である。

Leiodermatolide A の全合成[44]

海綿由来の抗有糸分裂性ポリケチドの全合成において、フラグメント合成の途中で第二級アルコールを 光延反転→けん化の2段階操作で反転させている。エステルとして反転させたのち加水分解して 目的の配置のアルコールを得る、という古典的かつ実用的な運用例である。

(+)-18-epi-Latrunculol A の全合成[43]

Smith らは、16員環マクロラクトンの構築に後期段階での光延マクロラクトン化を用いている。 複雑な官能基を多数もつ基質の最終段階に適用できることを示す例。

AZD8186 の不斉合成とスケールアップ[45]

PI3Kβ/δ阻害剤 AZD8186 のプロセス開発において、福山法の光延反応により、第二級ベンジル位アルコールの立体反転を伴って目的の(R)配置のアリールアミノエチル基を構築している。光延反応が製造スケールでも成立しうることを示す実例である。

弱酸性求核剤における試薬選択の効果[38]

pKa が11を超えるピリジノールとアルコールの縮合において、DEAD/ポリマー担持PPh₃ では 目的物54%に対しアルキル化ヒドラジン副生成物が46%生じたのに対し、ADDP に替えると目的物81%で副生成物は観測されなかった。

実験手順

立体障害のあるアルコールの立体反転[42]

温度計と攪拌子を備えた250 mL三口フラスコに、(−)-メントール(3.00 g, 19.2 mmol)、4-ニトロ安息香酸(12.9 g, 77.2 mmol, 約4当量)、トリフェニルホスフィン(20.1 g, 76.6 mmol, 約4当量)、テトラヒドロフラン(150 mL)を加える。氷冷下、 アゾジカルボン酸ジエチル(12.1 mL, 77 mmol, 約4当量)を内温が10 ℃を超えないように滴下する。滴下後、氷浴を外して 室温で14時間攪拌し、続いて40 ℃で3時間攪拌する。室温に戻し、ジエチルエーテル(150 mL)で希釈して有機層を飽和重曹水 (2 × 100 mL)で洗浄、水層はジエチルエーテル(100 mL)で逆抽出する。合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、 エバポレーターおよび真空ポンプ(0.2 mmHg, 30 ℃, 3時間)で濃縮する。得られた固体をジエチルエーテル(40 mL)に懸濁して 一晩静置し、攪拌しながらヘキサン(20 mL)を徐々に加えて析出する白色固体(主にホスフィンオキシド)を減圧濾過で除き、 50 v/v% ジエチルエーテル/ヘキサンで洗浄する。濾液を濃縮し、残った黄色油状物をジクロロメタン(10 mL)に溶かして 8% ジエチルエーテル/ヘキサン(40 mL)で希釈し、カラムクロマトグラフィー(8% ジエチルエーテル/ヘキサン)で精製すると、 目的の4-ニトロ安息香酸エステルが白色結晶性固体として得られる(5.03 g, 85.6%)。続くアルカリ加水分解で 配置の反転したアルコールに導ける。

光延マクロラクトン化(Ferrulactone II 合成より)[46]

高希釈条件下で分子内エステル化を行い、環化と立体反転を同時に達成する手順。要点は、(i) 分子間反応を抑えるための高希釈(約0.01 M)、(ii) ホスフィン7当量・DIAD 4当量という過剰量、 (iii) 低温での緩やかなアゾ試薬滴下の3点である。

攪拌子を入れた25 mLシュレンク管にトリフェニルホスフィン(262 mg, 1.00 mmol)を入れ、室温で減圧–アルゴン置換を3回行う。 ヒドロキシ酸((S,Z)-11-ヒドロキシドデカ-3-エン酸, 30 mg, 0.14 mmol)のトルエン溶液(15 mL, 基質濃度約0.01 M)を 加え、−10 ℃に冷却する。アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD, 98 mg, 0.56 mmol, 4当量)を10分かけて滴下し、 室温に昇温して2時間攪拌する。反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮する。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (石油エーテル/酢酸エチル = 20:1)で精製すると、目的の12員環マクロラクトンが無色油状物として得られる(17 mg, 63%)。

実験のコツ・テクニック

安全性
  • アゾジカルボン酸エステルは熱・衝撃・摩擦により爆発する危険性がある。このためDEAD・DIAD・DTBADはいずれも トルエン希釈溶液(それぞれ約40%・40%・20%)として市販されており、溶液のまま使用することが推奨されている。 濃縮・蒸留・乾固は避けるべき。
  • 現場ではDEADよりDIADが選好される傾向があり、その理由としてDEADの熱的危険性が挙げられている 。
  • アジ化物(DPPA等)を求核剤とする変法では、爆発性の有機アジドやアジ化水素が生じうるため、 別途の安全性評価が必要。
仕込み・添加順序
  • 標準的にはアルコール・求核剤・ホスフィンを先に溶かし、氷冷してからアゾ試薬を最後に滴下する。 内温は10 ℃を超えないようにする。この順序には機構的な裏づけがある。酸を先に加えるとアルコキシホスホニウム経由で反転するのに対し、 アルコールを先に加えるとP上アキラルなジアルコキシホスホランが生じ、ラセミ化・保持の原因になりうる。[11]
  • 実務指針として「強い酸・非極性溶媒・添加順序の管理」が挙げられる。[11] Jenkinsらの速度論研究では非極性溶媒中で反応が速く収率が高いことが報告されており[19]、 THFが標準溶媒として広く使われる現状に対し、難基質ではトルエン等の検討価値がある。
  • 反応が途中で止まった場合、ホスフィンとアゾ試薬はセットで追加しないと再開しない。
副生成物の除去
  • Ph₃P=O はヘキサン(またはペンタン)/エーテル系でシリカプラグに通すことで大部分を除去できる。 必要に応じて2–3回繰り返す。生成物が比較的低極性で安定な場合に限られる。
  • Ph₃P=O はベンゼン–シクロヘキサン混合溶媒からよく結晶化するという事例から、これを除去に活用することも検討可能。
  • 塩化亜鉛による沈殿除去が報告されている。[41] ただしZnCl₂/MgCl₂ による錯体沈殿はトルエンや酢酸エチル中では有効だがTHF中では効果が無いとされる。THFのまま処理したい場合はCaBr₂が有効(95–98%除去)。 光延反応の標準溶媒がTHFであることを考えると、実務上重要な注意点である。
  • 試薬を過剰に使用するほど精製が難しくなる。Ph₃P=O とヒドラジド副生成物は極性が「中途半端」で生成物と 分離しにくいため。
試薬選択で後処理を楽にする
試薬 後処理上の利点
DMEAD 副生ヒドラジドが極性・水溶性となり、水洗で除去できる[40]
DCAD 固体試薬。副生ヒドラジドが結晶性で濾過除去でき、再酸化して再利用も可能[39]
ADDP / TMAD 副生物の極性が高く、カラムで分離しやすい
CMBP / CMMP アゾ試薬を使わないためヒドラジド副生物が出ない
塩基性置換基をもつホスフィン
(2-ピリジル型、4-ジメチルアミノフェニル型)
ホスフィンとそのオキシドを希塩酸洗浄で除去できる
ポリマー担持ホスフィン 過剰ホスフィンと生成オキシドをまとめて濾過で除去できる
試薬の保管
  • CMMP・CMBP は酸素・湿気に非常に弱く、アルゴン下・冷蔵保存が必要。固体のCMMPは 同じ瓶から繰り返し秤取せず小分けして保管することが推奨されている。

参考文献

【原著】
  1. Mitsunobu, O.; Yamada, M.; Mukaiyama, T. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1967, 40, 935–939. DOI: 10.1246/bcsj.40.935 (原報。ホスフィン–アゾジカルボキシラート系によるエステル化の最初の報告)
  2. Mitsunobu, O.; Yamada, M. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1967, 40, 2380–2382. DOI: 10.1246/bcsj.40.2380 (原報。四級ホスホニウム塩を経る経路の提示)
【総説】
  1. Mitsunobu, O. Synthesis 1981, 1981, 1–28. DOI: 10.1055/s-1981-29317 (発見者自身による最初の包括的総説)
  2. Hughes, D. L. Org. React. 1992, 42, 335. DOI: 10.1002/0471264180.or042.02 (Organic Reactions 収録。基質範囲を網羅的に整理)
  3. Dandapani, S.; Curran, D. P. Chem. Eur. J. 2004, 10, 3130–3138. DOI: 10.1002/chem.200400363 (分離を容易にする試薬設計の総説)
  4. Dembinski, R. Eur. J. Org. Chem. 2004, 2004, 2763–2772. DOI: 10.1002/ejoc.200400003 (改良試薬とクロマトグラフィー不要化の総説)
  5. But, T. Y. S.; Toy, P. H. Chem. Asian J. 2007, 2, 1340–1355. DOI: 10.1002/asia.200700182 (起源・機構・改良・応用を通観)
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  9. Croll, E. A.; Kwon, O. Synthesis 2024, 56, 1843–1850. DOI: 10.1055/a-2232-8633 (機構論の現状整理)
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【機構研究】
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  3. Camp, D.; Jenkins, I. D. J. Org. Chem. 1989, 54, 3045–3049. DOI: 10.1021/jo00274a016 (Part I。ホスホランとオキシホスホニウム塩の関与)
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  5. Tsunoda, T.; Nagino, C.; Oguri, M.; Itô, S. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 2459–2462. DOI: 10.1016/0040-4039(96)00318-8 (CMBP による活性メチレン化合物のアルキル化)
  6. Tsunoda, T.; Ozaki, F.; Shirakata, N.; Tamaoka, Y.; Yamamoto, H.; Itô, S. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 2463–2466. DOI: 10.1016/0040-4039(96)00319-X (光延反応による複素環構築。(+)-α-skytanthine 合成)
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  1. But, T. Y. S.; Toy, P. H. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9636–9637. DOI: 10.1021/ja063141v (PhI(OAc)₂ を再酸化剤とし、アゾ試薬を触媒量に)
  2. Hirose, D.; Taniguchi, T.; Ishibashi, H. Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 4613–4617. DOI: 10.1002/anie.201300153 (鉄触媒と大気中の酸素でアゾ試薬を再生)
  3. Buonomo, J. A.; Aldrich, C. C. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 13041–13044. DOI: 10.1002/anie.201506263 (ホスフィンの触媒化と「完全触媒系」の提案)
  4. Hirose, D.; Gazvoda, M.; Košmrlj, J.; Taniguchi, T. Chem. Sci. 2016, 7, 5148–5159. DOI: 10.1039/C6SC00308G (触媒的光延反応の機構的知見と改良)
  5. Beddoe, R. H.; Sneddon, H. F.; Denton, R. M. Org. Biomol. Chem. 2018, 16, 7774–7781. DOI: 10.1039/C8OB01929K (触媒的変法の批判的総括。採用前に必読)
  6. Beddoe, R. H.; Andrews, K. G.; Magné, V.; Cuthbertson, J. D.; Saska, J.; Shannon-Little, A. L.; Shanahan, S. E.; Sneddon, H. F.; Denton, R. M. Science 2019, 365, 910–914. DOI: 10.1126/science.aax3353 (副生物が水のみのレドックス中性型)
  7. Williams, M. T. J.; Adarve Cardona, L.; Bolm, C. Adv. Synth. Catal. 2024, 366, 2220–2225. DOI: 10.1002/adsc.202400296 (無溶媒ボールミル条件。10–20分で進行)
  8. Hale, E. A.; Zhu, Q. Chem. Sci. 2025, 16, 15216–15222. DOI: 10.1039/D5SC03101J (アゾ試薬を陽極酸化で代替する電気化学的アミノ化)
【分離・後処理】
  1. Humphries, P. S.; Do, Q.-Q. T.; Wilhite, D. M. Beilstein J. Org. Chem. 2006, 2, No. 21. DOI: 10.1186/1860-5397-2-21 (DEAD 54%/副生物46% → ADDP 81%/副生物なし。オープンアクセス)
  2. Lipshutz, B. H.; Chung, D. W.; Rich, B.; Corral, R. Org. Lett. 2006, 8, 5069–5072. DOI: 10.1021/ol0618757 (DCAD。固体試薬で副生物は濾過除去・再利用可)
  3. Sugimura, T.; Hagiya, K. Chem. Lett. 2007, 36, 566–567. DOI: 10.1246/cl.2007.566 (DMEAD。副生ヒドラジドが水溶性となり水洗で除去)
  4. Batesky, D. C.; Goldfogel, M. J.; Weix, D. J. J. Org. Chem. 2017, 82, 9931–9936. DOI: 10.1021/acs.joc.7b00459 (塩化亜鉛による Ph₃P=O の沈殿除去)
【応用例・実験手順】
  1. Dodge, J. A.; Nissen, J. S.; Presnell, M. Org. Synth. 1996, 73, 110. DOI: 10.15227/orgsyn.073.0110 (検定済み手順。立体障害アルコールの反転=メントールの例)
  2. Williams, B. D.; Smith, A. B., III. J. Org. Chem. 2014, 79, 9284–9296. DOI: 10.1021/jo501733m ((+)-18-epi-Latrunculol A。後期段階のマクロラクトン化)
  3. Siu, Y.-M.; Roane, J.; Krische, M. J. J. Am. Chem. Soc. 2021, 143, 10590–10595. DOI: 10.1021/jacs.1c06062 (Leiodermatolide A。光延反転–けん化)
  4. Moore, P. R.; Muir, J. C.; Dubiez, J.; Leslie, K. W.; Tomlin, P.; McCormick, M.; Janbon, S. L.; Cornwall, P.; Ryberg, P.; Berg, R. Org. Process Res. Dev. 2021, 25, 1889–1897. DOI: 10.1021/acs.oprd.1c00133 (AZD8186。福山変法の製造スケール適用)
  5. Tang, H.; An, B.; Huang, Y.; Liu, D.; Bian, Q.; Zhong, J. Molecules 2026, 31, 404. DOI: 10.3390/molecules31030404 (Ferrulactone II 対掌体。マクロラクトン化と反転の同時達成。オープンアクセス)

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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