[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

薗頭・萩原クロスカップリング Sonogashira-Hagihara Cross Coupling

[スポンサーリンク]

アルキン、ハロゲン化合物→アルキン

概要

  • ハロゲン化アリールまたはハロアルカンと、末端アルキンのクロスカップリング反応。触媒量のPd(0)+ヨウ化銅+アミンのコンビネーションが促進させる。
  • 近年ではパラジウムや銅などがなくても進行する系が見いだされつつある。

基本文献

Review

  •  Sonogashira, K. Comprehensive Organic Synthesis 19913, 521.
  •  Sonogashira, K. J. Organomet. Chem. 2002653, 46. doi:10.1016/S0022-328X(02)01158-0
  •  Negishi , E.-i.; Anastasia, L. Chem. Rev. 2003103, 1979. DOI: 10.1021/cr020377i
  •  有機合成化学協会誌 2004, 62, 355.
  • Chinchilla, R.; Najera, C. Chem. Rev. 2007107, 874. DOI: 10.1021/cr050992x
  • PlenioH. Angew. Chem., Int. Ed.  2008,  47,  6954. DOI: 10.1002/anie.200802270
  • ChinchillaR.NajeraC. Chem. Soc. Rev.  2011405084. DOI: 10.1039/C1CS15071E
  • JennyN. M.MayorM.EatonT. R. Eur. J. Org. Chem.  20114965. DOI: 10.1002/ejoc.201100176

 

歴史的経緯

1975年にHeck[a]、Cassar[b]と薗頭・萩原の3グループから、其々独立してハロゲン化アリールとアルキンとの触媒的カップリング反応が相次いで報告された。化学量論量以上の銅塩を用いたアルキニル化の例は報告されていたが[a]、本反応は触媒量のパラジウム錯体を用いることで反応が進行する先駆的な例である。特に薗頭らの反応条件は、ヨウ化銅(CuI)を助触媒として用いており、CassarとHeckらより穏和な条件で反応が進行し、対応するアリールアセチレンが高収率で得られる。

2016-02-01_03-15-36

  1. Dieck, H. A.; Heck, F. R. J. Organomet. Chem. 1975, 93, 259.
  2. Cassar, L. J. Organomet. Chem1975, 93, 253.

反応機構

yne-yn8.gif

反応例

  • Gingkolideの合成[1] yne-yn2.gif

 

  • 分子内園頭-荻原アセチレンカップリングによるエンジイン骨格の合成。収率は低く、最高でも43%。yne-yn22.gif

 

  • それほどsensitiveな反応でもなく、収率も良いため固相担持基質への反応にも応用できる。コンビナトリアル合成・ライブラリー構築に使用されることも多い。
    sonogashira_hagiwara1.gif
  • 近年パラジウムを用いる触媒的カップリングの発展は著しく、かさ高く電子豊富なリン配位子を用いて低反応性のアリールブロミドやアリールクロリドを反応に供することが出来るようになった。[5][6] sonogashira_hagiwara_2.gif
    sonogashira_hagiwara_3.gif
  • Callipeltosideアグリコンの合成[7] sonogashira_hagiwara_8.gif

実験手順

ピリジンブロミドとの薗頭カップリング
sonogashira_hagiwara_9.gif実験のコツ・テクニック

  • 上述したようにPdに銅を助触媒として併せもちいるのが本反応である。Pdの場合は、Heck–Classar反応、Cuのみは三浦ら、AuはCrma、そしてFe触媒を用いた場合はそれぞれBolmらによって報告されている。

ncontent

参考文献

  1.  Corey, E. J. et al. J. Am.Chem.Soc. 1988,110, 649. DOI: 10.1021/ja00210a083
  2. Zhang, Q. et al. J. Org. Chem. 200365, 7977. DOI: 10.1021/jo000978e
  3. Dai, W-M.; Wu, A. TetrahedronLett. 200142, 81. doi:10.1016/S0040-4039(00)01890-6
  4. Liao, Y. et al. Tetrahedron Lett. 200142, 1815. doi:10.1016/S0040-4039(01)00052-1
  5. Buchwald, S. L. et al. Org. Lett. 20002, 1729. DOI: 10.1021/ol0058947
  6. Buchwald, S. L. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2003, 42, 5993. doi:10.1002/anie.200353015
  7. Paterson, I.; Davies, R. D. M.; Marquez, R. J. Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 603. [abstract]
  8. R’kyek, O.; Halland, N.; Lindenschmidt, A.; Alonso, J.; Lindemann, P.; Urmann, M.; Nazare, M. Chem.–Eur. J. 2010, 16, 9986.
  9. Choy, P. Y.; Chow, W. K.; So, C. M.; Lau, C. P.; Kwong, F. Y. Chem. Eur. J. 2010, 16, 9982.

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

関連記事

  1. アルキンの環化三量化反応 Cyclotrimerization …
  2. ジョンソン・クライゼン転位 Johnson-Claisen Re…
  3. ボロン酸MIDAエステル MIDA boronate
  4. 辻・トロスト反応 Tsuji-Trost Reaction
  5. 福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis…
  6. 金属カルベノイドを用いるシクロプロパン化 Cyclopropan…
  7. フィッツナー・モファット酸化 Pfitzner-Moffatt …
  8. エノラートのα-アルキル化反応 α-Alkylation of …

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 安定なケトンのケイ素類縁体“シラノン”の合成 ケイ素—酸素2重結合の構造と性質
  2. 創薬化学―有機合成からのアプローチ
  3. 有機合成のための遷移金属触媒反応
  4. 肺がん治療薬イレッサ「使用制限の必要なし」 厚労省検討会
  5. 抗菌目薬あす発売 富山化学工業 国内初の小児適用
  6. パール・クノール ピロール合成 Paal-Knorr Pyrrole Synthesis
  7. 水口 賢司 Kenji Mizuguchi
  8. 石油・化学プラントのスマート保安推進に向けて官民アクションプランを策定
  9. 学術オンラインコンテンツ紹介(Sigma-Aldrichバージョン)
  10. トロンボキサンA2 /Thromboxane A2

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP