[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ペタシス反応 Petasis Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

多成分縮合反応(Multicomponent Reaction)の一種である。
水/空気に安定で容易に手に入るアルケニル・アリールボロン酸を用いて、α-アミノ酸およびβ-アミノアルコールといった、合成化学的に有用なユニットを与える反応。光学活性α-ヒドロキシアルデヒドを基質として用いた場合にはアンチ体のβ-アミノアルコールをほぼ完全な立体選択性で与える。

実験手順はきわめて容易で、溶媒(通常はエタノール)中、ボロン酸、アミン、α-ケト酸(or α-ヒドロキシアルデヒド) を室温で混ぜるだけで進行する。

 

基本文献

 

反応機構

原文献中には、反応機構に関する記述は殆ど無いが、無保護のカルボン酸もしくはヒドロキシル基が反応進行に必須であることが分かっている。おそらくイミニウムカチオンおよびボレート経由で進行するものと考えられる。
petasis_5.gif

反応例

官能基受容型多成分縮合反応は、多様性指向型化合物ライブラリーへの迅速なアクセスを可能とする。以下は、Petasis反応を用いた構築例である。[1] petasis_2.gif
有機分子触媒を用いる不斉Petasis型カップリング[2] petasis_4.gif
petasis_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Kumagai, N.; Muncipinto, G.; Schreiber, S. L. Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 3635. doi:10.1002/ange.200600497

[2] (a) Yamaoka, Y.; Miyabe, H.; Takemoto, Y. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 6686. DOI: 10.1021/ja071470x (b) Lou, S.; Schaus, S. E. J. Am. Chem. Soc. 2008130, 6922. DOI: 10.1021/ja8018934

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527325980″ locale=”JP” title=”Boronic Acids: Preparation and Applications in Organic Synthesis, Medicine and Materials (2 Volume Set)”][amazonjs asin=”3527332375″ locale=”JP” title=”Multicomponent Reactions in Organic Synthesis”]

 

外部リンク

関連記事

  1. シリル系保護基 Silyl Protective Group
  2. カテラニ反応 Catellani Reaction
  3. 1,3-ジチアン 1,3-Dithiane
  4. ポロノフスキー開裂 Polonovski Fragmentati…
  5. アシル系保護基 Acyl Protective Group
  6. モンサント酢酸合成プロセス Monsanto Process f…
  7. カニッツァロ反応 Cannizzaro Reaction
  8. ボロン酸MIDAエステル MIDA boronate

注目情報

ピックアップ記事

  1. タルセバ、すい臓がんではリスクが利点を上回る可能性 =FDA
  2. 銀を使ってリンをいれる
  3. マテリアルズ・インフォマティクスのためのデータサイエンティスト入門
  4. ポリエチレングリコール結合ルテニウムカルベン錯体
  5. ゲラニオール
  6. 大学院から始めるストレスマネジメント【アメリカで Ph.D. を取る –オリエンテーションの巻 その 1–】
  7. カーボンニュートラルへの化学工学: CO₂分離回収,資源化からエネルギーシステム構築まで
  8. 【大阪開催2月26日】 「化学系学生のための企業研究セミナー」
  9. 細胞をすりつぶすと失われるもの
  10. フォン・ペックマン反応 von Pechmann Reaction

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP