[スポンサーリンク]

M

マイケル付加 Michael Addition

[スポンサーリンク]

 

概要

元々はカルボニル基が共役した電子不足二重結合に、炭素陰イオンが1,4-付加(共役付加)する反応を指していた。現在ではカルボニル基以外の電子吸引基が置換した電子不足二重結合・三重結合をアクセプターとする反応や、RLiRMgXR2CuLiなどの有機金属化合物・アミン・アルコキシドをドナーとする反応にも拡張して呼称される。

不斉誘起を伴う反応条件も種々開発されている。

基本文献

  • Michael, A. J. Prakt. Chem. 1887, 35, 349. doi:10.1002/prac.18870350136
  • Michael, A. J. Prakt. Chem. 1894, 49, 20. doi:10.1002/prac.18940490103
  • Bergmann, E. D.; Corett, R. J. Org. Chem. 195823, 1507. DOI: 10.1021/jo01104a028
  • Bergmann, E. D.; Ginsburg, D.; Pappo, R. Org. React. 1959, 10, 179.
  • Lacey, R. N. J. Chem. Soc. 1960, 1625.
  • Jung, M E. Comp. Org. Syn. 1991, 4, 1.
  • Lee, V. J. Comp. Org. Syn. 1991, 4,  69, 139.
  • Kozlowski, J. A. Comp. Org. Syn. 19914, 169.
  • d’Angelo J. et al. Tetrahedron: Asymmetry 19923, 459. doi:10.1016/S0957-4166(00)80251-7
  • Leonard, J. et al. Eur. J. Org. Chem. 1998, 2051. [abstract]

 

反応機構

マロン酸エステルの活性メチレンプロトンは酸性度が高く、塩基で容易に脱プロトン化される。付加体のエノラートはさらに塩基性が強いため、マロン酸エステルのプロトンを引き抜く。この段階がほとんど不可逆的に進むため、アルドール反応と異なり、求電子剤と求核剤は1:1の量比でも収率よく生成物が得られる。塩基は触媒量でよい。
michael_2.gif

反応例

有機銅による1,4-付加反応を用いたステロイド骨格CD環の構築[1] en.gif
柴崎らは、不斉マイケル付加に活性な触媒としてLa-linked-BINOL触媒を開発している。本触媒は高選択的であるうえ、空気中で保存しても活性が低下しない。[2] ene-on2.gif
シリルエノラートは、ルイス酸条件においてMichael付加を起こす(参考:向山アルドール反応)[3]。
michael_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] 大学院講義有機化学II P.243

[2] Kim, Y. S. ; Matsunaga, S.; Das, J.; Sekine, A.; Ohshima, T.;Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 6506. DOI: 10.1021/ja001036u

[3] (a) Narasaka, K.; Soai, K.; Aikawa, Y.; Mukaiyama, T. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1976, 49, 779. doi:10.1246/bcsj.49.779 (b) Mukaiyama, T.; Kobayashi, S. Heterocycles 198725, 245.

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. アリルオキシカルボニル保護基 Alloc Protecting …
  2. 有機銅アート試薬 Organocuprate
  3. 北エステル化反応 Kita Esterification
  4. ピクテ・スペングラー反応 Pictet-Spengler Rea…
  5. エンインメタセシス Enyne Metathesis
  6. リッター反応 Ritter Reaction
  7. アルキンジッパー反応 Alkyne Zipper Reacito…
  8. マンダー試薬 Mander’s Reagent

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 史上最強の塩基が合成される
  2. なんだこの黒さは!光触媒効率改善に向け「進撃のチタン」
  3. 大陽日酸の産業ガスへの挑戦
  4. サントリー白州蒸溜所
  5. 【8/31まで!!】マテリアルズ・インフォマティクスの基礎から実践技術まで学ぶワンストップセミナー|期間限定アーカイブ配信
  6. アメリカの大学院生だってパーティするっつーの! 【アメリカで Ph.D. を取る –Qualification Exam の巻 後編】
  7. 【 Web seminar by Microwave Chemical 】 マイクロ波化学(株)/ 7月26日(水)欧州向けウェビナー開催
  8. 口頭発表での緊張しない6つのヒント
  9. 高専シンポジウム in KOBE に参加しました –その 2: 牛の尿で発電!? 卵殻膜を用いた燃料電池–
  10. ChemDrawの使い方【作図編⑤ : 反応機構 (後編)】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

マテリアルズ・インフォマティクスの基礎知識とよくある誤解

開催日:2023/10/04 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

理研、放射性同位体アスタチンの大量製造法を開発

理化学研究所 仁科加速器科学研究センター 核化学研究開発室、金属技研株式会社 技術開発本部 エン…

マイクロ波プロセスを知る・話す・考える ー新たな展望と可能性を探るパネルディスカッションー

<内容>参加いただくみなさまとご一緒にマイクロ波プロセスの新たな展望と可能性について探る、パ…

SFTSのはなし ~マダニとその最新情報 後編~

注意1:この記事は人によってはやや苦手と思われる画像を載せております ご注意ください注意2:厚生…

様々な化学分野におけるAIの活用

ENEOS株式会社と株式会社Preferred Networks(PFN)は、2023年1月に石油精…

第8回 学生のためのセミナー(企業の若手研究者との交流会)

有機合成化学協会が学生会員の皆さんに贈る,交流の場有機化学を武器に活躍する,本当の若手研究者を知ろう…

UBEの新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇、放映開始

UBE株式会社は、2023年9月1日より、新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇を関東エリ…

有機合成化学協会誌2023年9月号:大村天然物・ストロファステロール・免疫調節性分子・ニッケル触媒・カチオン性芳香族化合物

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年9月号がオンライン公開されています。…

ペプチドの精密な「立体ジッパー」構造の人工合成に成功

第563回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 工学系研究科応用化学専攻 藤田研究室の恒川 英…

SNS予想で盛り上がれ!2023年ノーベル化学賞は誰の手に?

さてことしもいよいよ、ノーベル賞シーズンが到来します!化学賞は日本時間 10月4日(水) 18時45…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP