[スポンサーリンク]

N

野崎・檜山・岸カップリング反応 Nozaki-Hiyama-Kishi (NHK) Coupling

ハロゲン化物、アルデヒド→アルコール

概要

アルケニルハライド・トリフラートとアルデヒド間のカップリング反応。、Ni(II)触媒およびCr(II)当量還元剤を用いる。不飽和アルデヒドの場合には1,2-付加が選択的に進む。

1977年に野崎・檜山らがCr(II)を当量用いる反応として報告した。1986年に岸および野崎らのグループがそれぞれ独立に、CrCl2中に混入している微量のNiが高活性・再現性に必須であることを突き止めた。

室温・中性という穏和な条件で進行し、官能基選択性も極めて高い。有毒なクロムを量論量必要とするが、複雑化合物に対しても適用可能である条件の穏和さゆえ、現在でもしばしば用いられる。

基本文献

  •  Okude, Y.; Hirano, S.; Hiyama, T.; Nozaki, H. J. Am. Chem. Soc. 1977, 99, 3179. DOI: 10.1021/ja00451a061
  • Jin, H.; Uenishi, J.; Christ, W. J.; Kishi, Y. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 5644. DOI: 10.1021/ja00278a057
  • Takai, K.; Tagashira, M.; Kuroda, T.; Oshima, K.; Utimoto, K.; Nozaki, H. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 6048. DOI: 10.1021/ja00279a068
  • Cintas, P. Synthesis 1992, 248.
  • Wessjohann, L. A.; Scheid, G. Synthesis 1999,.
  • Furstner, A. Chem Rev. 1999, 99, 991. DOI: 10.1021/cr9703360
  • Takai, K. Org. React. 2004, 64, 253.

 

反応機構

系内で還元されたニッケル(0)がアルケニルハライドに酸化的付加し、続いてクロム(III)へのトランスメタル化が起こる。アルデヒドと反応するのは、アルケニルクロム種であると考えられている。クロム求核種自体の反応性はそれほど高くないため、アルデヒド選択的に反応が進む。
nhk_2.gif

反応例

本反応の高い官能基選択性を巧みに利用したPalytoxin[1]、Halichondrin B[2]の全合成は、天然物合成化学における金字塔である。
nhk_4.gif
通常は有毒なクロム剤を過剰量用いる必要があり、これが最大のデメリットの一つである。Fürstnerらによって、共還元剤にMnを用い有毒なクロムを触媒量に減量できることが報告されている。 Crから生成物を解離させるため、添加剤としてTMSClを用いることがカギ。[3] nhk_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

※二価クロムは酸素に敏感であるため、不活性ガス雰囲気下で反応を行うこと。

 

参考文献

[1] Suh, E. M.; Kishi, Y. J. Am. Chem. Soc. 1994116, 11205. DOI: 10.1021/ja00103a065

[2] Kishi, Y. et al. J. Am. Chem. Soc. 1992114, 3162. DOI: 10.1021/ja00034a086

[3] Fürstner, A.; Shi, N. J. Am. Chem. Soc. 1996118, 12349. doi:10.1021/ja9625236

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

 

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. ランバーグ・バックランド転位 Ramberg-Backlund …
  2. チチバビン反応 Chichibabin Reaction
  3. エッシェンモーザー・クライゼン転位 Eschenmoser-Cl…
  4. ジムロート転位 (ANRORC 型) Dimroth Rear…
  5. ベンジル酸転位 Benzilic Acid Rearrangem…
  6. クラブトリー触媒 Crabtree’s Cataly…
  7. ニトロンの1,3-双極子付加環化 1,3-Dipolar Cyc…
  8. エノラートの酸化的カップリング Oxidative Coupli…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. NeoCube 「ネオキューブ」
  2. 大麻から作られる医薬品がアメリカでオーファンドラッグとして認証へ
  3. マルコ・ラム脱酸素化 Marko-Lam Deoxygenation
  4. 研究室でDIY!~光反応装置をつくろう~
  5. 三枝・伊藤 インドール合成 Saegusa-Ito Indole Synthesis
  6. ネニチェスク インドール合成 Nenitzescu Indole Synthesis
  7. テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) : Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)
  8. シュタウディンガー反応 Staudinger Reaction
  9. ロバート・メリフィールド Robert B. Merrifield
  10. 秋山隆彦 Takahiko Akiyama

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

AIで世界最高精度のNMR化学シフト予測を達成

理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター環境代謝分析研究チームの菊地淳チームリーダー、伊藤研悟特…

イミニウム励起触媒系による炭素ラジカルの不斉1,4-付加

2017年、カタルーニャ化学研究所・Paolo Melchiorreらは、イミニウム有機触媒系を可視…

ケムステ版・ノーベル化学賞候補者リスト【2018年版】

各媒体からかき集めた情報を元に、「未来にノーベル化学賞の受賞確率がある化学者」をリストアップしていま…

巨大複雑天然物ポリセオナミドBの細胞死誘導メカニズムの解明

第161回目のスポットライトリサーチは、早田敦 (はやた あつし)さんにお願いしました。早田…

イグノーベル化学賞2018「汚れ洗浄剤としてヒトの唾液はどれほど有効か?」

Tshozoです。今年もIg Nobel賞、発表されましたね。色々と興味深い発表が続く中、NHKで放…

最近のwebから〜固体の水素水?・化合物名の商標登録〜

皆様夏休みはいかがお過ごしでしたでしょうか。大学はそろそろ後学期が始まってきたところです。小…

PAGE TOP