[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

ダン・シェヒトマン博士の講演を聞いてきました。

 はじめましてフェロセンと申します。5月初旬に思い切ってケムステスタッフとして活動すべく応募いたしまして、はれてケムステスタッフとなりました。今後ともどうぞよろしくお願いします。

 さて先日、2011年に「準結晶の発見」の功績によりノーベル化学賞を受賞されたダン・シェヒトマン博士の講演を聞く機会がありました。5月に来日され、様々な場所で講演を行っていたようです。今回はその内容について少しだけ紹介したいと思います。

 

 ノーベル化学賞受賞者の講演ともあって、会場が多くの教員・大学院生で埋め尽くされているのを想像していていました。しかし、なんと学部生だけでなく多くの高校生も参加していました。

準結晶ネクタイを締めて登壇された博士。ちなみに準結晶ネクタイとはこんなのです。

2014-05-30_02-21-31

参加者に若い人が多かったことからか、博士は「準結晶とは何?」というところから実際の博士の研究までわかりやすい英語でゆっくりと話してくださいました。

講演の最後には、こんな疑問を投げかけていました。

Why QCs (quasicrystals) were never discovered before 1982?

Are they

-very rare? →× they are hundreds of them.

-not stable? →×

-difficult to make →×

-made of rare elements? →×  Not at all. They are cheap!

つまり、準結晶は数百個存在して、熱力学的に安定にである多く、作成も難しくなく、比較的安価につくれると。では、疑問である「どうして1982年より前に準結晶が発見されなかったのか」のでしょうか。博士は以下の事項がその理由だといっていました。

・TEM

・PROFESSIONALISM

・TENACITY

・BELIEVING IN YOURSELF

・RESILIENCE

 つまり、発見にはTEM(Transmission Electron Microscope;透過型電子顕微鏡)がなくてはならないものであったこと、続いて、そういった測定器械類の操作だけでなく、昔は機械修理も全て自分で行なった、という話をされていました。それから、粘り強さ自分を信じること立ち直る力が鍵となったと言っていました。

 また、10Fold??? と記された、ダン・シェヒトマン博士が準結晶を発見した際のノートを示して、(会場に高校生が多くいたこともあり)、実験ノートがいかに重要かということや何を記してあるか、時間をかけて詳しくお話しされていたことが印象的でした。

2014-05-30_02-36-24
博士のノート

 なかなかノーベル化学賞受賞者の講演を無料で聞けるものではないと思いますので大変参考になりました。それにしても、そんなに年が離れている訳ではないのですが、会場にいた高校生の若さに圧倒された講演会でした。

関連書籍

The following two tabs change content below.

ferrocene

最新記事 by ferrocene (全て見る)

関連記事

  1. 抗結核薬R207910の不斉合成
  2. 【書籍】合成化学の新潮流を学ぶ:不活性結合・不活性分子の活性化
  3. 合成生物学を疾病治療に応用する
  4. Dead Endを回避せよ!「全合成・極限からの一手」⑤(解答編…
  5. カルベンで挟む!
  6. アミン存在下にエステル交換を進行させる触媒
  7. アイルランドに行ってきた①
  8. ノーベル化学賞メダルと科学者の仕事

注目情報

ピックアップ記事

  1. 白リンを超分子ケージに閉じ込めて安定化!
  2. 新たな製品から未承認成分検出 大津の会社製造
  3. セイファース・ギルバート アルキン合成 Seyferth-Gilbert Alkyne Synthesis
  4. 細胞表面受容体の機能解析の新手法
  5. 第28回 錯体合成から人工イオンチャンネルへ – Peter Cragg教授
  6. 「女性用バイアグラ」開発・認可・そして買収←イマココ
  7. 二酸化炭素をはきだして♪
  8. 2016年8月の注目化学書籍
  9. Pixiv発!秀作化学イラスト集【Part 1】
  10. 可逆的付加-開裂連鎖移動重合 RAFT Polymerization

注目記事

関連商品

注目情報

試薬検索:東京化成工業



最新記事

第5回慶應有機合成化学若手シンポジウム

第5回慶應有機合成化学若手シンポジウムの御案内   有機合成・反応化学、天然物化学・ケミカルバイ…

Cooking for Geeks 第2版 ――料理の科学と実践レシピ

キッチンへ足を踏み入れたそのときから、あなたは知らず知らずのうちに物理学者となり、化学者ともなっ…

光触媒が可能にする新規C-H/N-Hカップリング

こんにちは、ケムステ読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。筆者はこの時期、化学会年会の終わりで一年の…

元素紀行

先日、こんな記事を読みました。内容を一言で申せば、筆者の前川ヤスタカさんご自身の著書タイトルである「…

日本酸素記念館

大陽日酸の記念館で、創業時にドイツから輸入した酸素分離機が展示されていて、酸素分離機は、認定化学遺産…

室温でアルカンから水素を放出させる紫外光ハイブリッド触媒系

 プリンストン大学・Eric Sorensenらは、光駆動型水素原子移動(HAT)触媒-卑金属触媒ハ…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP