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化学コミュニケーション賞2022が発表

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「化学コミュニケーション賞2022」は、(株)化学工業日報社、(一社)化学情報協会の共催、(国研)科学技術振興機構、(公社)新化学技術推進協会、(一社)日本サイエンスコミュニケーション協会および(株)化学同人の後援により、2022年10月1日に募集を開始し、2022年12月10日に締め切りました。応募案件について、あらかじめ選任された選考委員により書面評価を行ったうえで、2023年1月6日に開催された最終選考委員会において化学コミュニケーション賞3件と審査員特別賞2件を選定しました。 (引用:1月16日日本化学連合ニュース)

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立したもので、「化学・化学技術」に対する社会の理解を深めることに貢献した個人および団体(企業、学協会、各種NPO、学校法人など)を顕彰しています。初年度ではサイエンスライターの佐藤 健太郎さんが受賞し、ケムステも2012年度に受賞しました。これまでに大学の教員だけでなく、中高の先生方、企業、学会、サークルなど多様な個人・団体がこの受賞しています。

今回は、科学コミュニケーション賞2022を2団体と1個人が、化学コミュニケーション賞2022審査員特別賞を2団体が受賞しました。

化学コミュニケーション賞2022(団体)

受賞者:ARchemisT(アルケミスト)/ 業績の表題:化学を広げるカプセルトイ「分子博物館」の企画制作

受賞者:ライオン株式会社 / 業績の表題:全国の自治体との連携による科学教育支援活動

化学コミュニケーション賞2022(個人)

受賞者:中村有里(岡山大学)/ 業績の表題:地域から世界への持続可能な国際化学交流

化学コミュニケーション賞2022審査員特別賞(団体)

受賞者:全国科学部連合 / 業績の表題:中高生によるSNSを用いた化学の普及活動

受賞者:東京大学「革新分子技術」総括寄付講座 / 業績の表題:電顕映像を通して伝える「目で見る化学」

まず、化学コミュニケーション賞2022(団体)を受賞したARchemisTについてですが、化学のエンターテインメントコミュニティです。具体的には、「化学をもっと面白くする」をモットーに、お堅い学問「化学」と異分野がコラボレーションし、アートやファッション、飲食に関連する活動を行っています。実はARchemisTにケムステメンバーも多数参加しております。表彰の業績は化学を広げるカプセルトイ「分子博物館」の企画制作であり、3Dプリンターで分子模型を自作しガチャ「分子博物館」を製作しました。

ライオンは、地域共生活動として行った全国の自治体との連携による科学教育支援活動が業績となり化学コミュニケーション賞2022を受賞しました。ライオンでは科学教室を15年前から継続的に実施しており、多くのライオン社員の方がボランティアとして参加し小学生に洗剤を使った実験を披露しているようです。また、SSH指定校への実験教室や講演会の実施や理工チャレンジ(リコチャレ)への参画など幅広い教育活動を行っています。

中村有里さんは、岡山大学 工学系部 化学生命系学科の技術専門職員であり、岡山大学のSDGsアンバサダーを務められているそうです。具体的には、化学に関する国際連携プロジェクト「SDGs Seminar」を定期的に実施しており、昨年は日本と中国、マレーシアの3か国5機関が参加し、英語での講演・日本語での技術に関する講演・文化交流・キャリアに関する話題などを行ったそうです。

化学コミュニケーション賞2022審査員特別賞(団体)を受賞した全国科学部連合とは、全国の科学系の部活に所属する中高生が運営する、科学部員が自由気ままに交流することを目的に作られた団体です。SNSを使った科学についての情報発信や他校との交流会を積極的に実施しているようです。

化学コミュニケーション賞2022審査員特別賞(団体)受賞のもう一つの団体、東京大学「革新分子技術」総括寄付講座は、中村 栄一特別教授が主宰されている研究室です。

中村研究室では、電子顕微鏡によって分子を直接観察することで分子の構造と反応性を解明することを行っており、数々の化学現象の撮影に成功してきました。業績は電顕映像を通して伝える「目で見る化学」ということで、電子顕微鏡映像に関する研究での受賞のようです。

SNSによる情報発信から最先端の研究まで様々なテーマの活動が表彰されており、化学コミュニケーションの多様性を知りました。また、高校生から大学の教員、企業まで様々な立場の方が積極的な活動を行っており、アカデミック以外からもできることがたくさんあることを改めて感じさせられました。表彰式は、3月7日に午後1時からオンラインにて開催されます。同日に2時から第16回日本化学連合シンポジウムも開催されますので、シンポジウム参加予定の方は、化学コミュニケーション賞授賞式にも参加してみてはいかがでしょうか。

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化学コミュニケーションに関するケムステ過去記事

 

 

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ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

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