[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

p-メトキシベンジル保護基 p-Methoxybenzyl (PMB) Protective Group

[スポンサーリンク]

アルコール→エーテル

概要

p-メトキシベンジル基(PMB or MPM)は、ベンジル基と同様に保護・脱保護が行える。さらに、DDQ(ジクロロジシアノベンゾキノン)を用いる緩和な酸化条件や、強酸性条件によっても除去できる。

ジメトキシベンジル基(DMB or DMPM)はメトキシ基が2,4位についたものと、3,4位についたものの2種類があり、PMBより緩和な条件で脱保護される。

PMBトリクロロアセトイミデート(PMB-O(C=NH)CCl3)を用いれば、酸性条件でPMB保護が行える。塩基性条件下不安定な化合物にも適用できる。

基本文献

  • Marco, J. L.; Hueso-Rodriguez, J. A. Tetrahedron Lett. 1988, 29, 2459.
  • Horita, K.; Abe, R.; Yonemitsu, O. Tetrahedron Lett. 198829, 4139.
  • Horita, K.; Yoshioka, T.; Tanaka, T.; Oikawa, Y. Yonemitsu, O. Tetrahedron 1986, 42, 3021.

 

反応機構

1.保護
Williamsonエーテル合成と同様の機構で進行する。
pmb.ht2.gif
2.脱保護(DDQ条件)
Charge-Transfer Complexを介した酸化が起こり、引き続く加水分解により脱保護される。
pmb.ht3.gif

反応例

ベンジリデン(もしくはp-メトキシベンジリデン)アセタールをDIBALで還元すると、立体的に込み入った方のアルコールがPMB(もしくはBn)保護された生成物が得られる。
pmb_8.gif
PMB(Bn)基のmigration:DIBALによるベンジリデンアセタールの開環反応を利用して立体的に混み合った位置へとPMB(Bn)基の移動が行える。
pmb_7.gif
ベンゼン環上のメトキシ置換数が多くなるほど、一般に外れやすくなる。PMB存在下、DMBを選択的に脱保護することもできる。[1] pmb_6.gif
(+)-Saxtoxinの合成[2]:PMBの電子供与性を利用し、スルホンアミドの求電子性を下げ、以降の変換に対して安定化させている。
pmb_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Tetrahedron 198642, 3021.
[2] (a) Fleming, J. J.; Du Bois, J. J. Am. Chem. Soc. 2006128, 3926.DOI: 10.1021/ja0608545
(b) Fleming, J. J.; McReynolds, M. D.; Du Bois, J. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 9964. DOI: 10.1021/ja071501o

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”1118057481″ locale=”JP” title=”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”]

 

外部リンク

関連記事

  1. マクファディン・スティーヴンス反応 McFadyen-Steve…
  2. バートン脱カルボキシル化 Barton Decarboxylat…
  3. エタール反応 Etard Reaction
  4. グレーサー反応 Glaser Reaction
  5. ロイカート・ヴァラッハ反応 Leuckart-Wallach R…
  6. バナジル(アセチルアセトナト) Vanadyl(IV) acet…
  7. マイヤー・シュスター転位/ループ転位 Meyer-Schuste…
  8. オーヴァーマン転位 Overman Rearrangement

注目情報

ピックアップ記事

  1. 有機金属反応剤ハンドブック―3Liから83Biまで
  2. ビタミンB12を触媒に用いた脱ハロゲン化反応
  3. 高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた
  4. varietyの使い方
  5. 偏光依存赤外分光でMOF薄膜の配向を明らかに! ~X線を使わない結晶配向解析
  6. ディークマン縮合 Dieckmann Condensation
  7. 第13回 化学を楽しみ、創薬に挑み続ける ―Derek Lowe博士
  8. 内部アルケンのアリル位の選択的官能基化反応
  9. Cu(I) の構造制御による π 逆供与の調節【低圧室温水素貯蔵への一歩】
  10. 科学の未解決のナゾ125を選出・米サイエンス誌

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

早稲田大学各務記念材料技術研究所「材研オープンセミナー」

早稲田大学各務記念材料技術研究所(以下材研)では、12月13日(金)に材研オープンセミナーを実施しま…

カーボンナノベルトを結晶溶媒で一直線に整列! – 超分子2層カーボンナノチューブの新しいボトムアップ合成へ –

第633回のスポットライトリサーチは、名古屋大学理学研究科有機化学グループで行われた成果で、井本 大…

第67回「1分子レベルの酵素活性を網羅的に解析し,疾患と関わる異常を見つける」小松徹 准教授

第67回目の研究者インタビューです! 今回は第49回ケムステVシンポ「触媒との掛け算で拡張・多様化す…

四置換アルケンのエナンチオ選択的ヒドロホウ素化反応

四置換アルケンの位置選択的かつ立体選択的な触媒的ヒドロホウ素化が報告された。電子豊富なロジウム錯体と…

【12月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催】 題目:有機金属化合物 オルガチックスのエステル化、エステル交換触媒としての利用

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

河村奈緒子 Naoko Komura

河村 奈緒子(こうむら なおこ, 19xx年xx月xx日-)は、日本の有機化学者である。専門は糖鎖合…

分極したBe–Be結合で広がるベリリウムの化学

Be–Be結合をもつ安定な錯体であるジベリロセンの配位子交換により、分極したBe–Be結合形成を初め…

小松 徹 Tohru Komatsu

小松 徹(こまつ とおる、19xx年xx月xx日-)は、日本の化学者である。東京大学大学院薬学系研究…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP