[スポンサーリンク]

H

ホフマン転位 Hofmann Rearrangement

[スポンサーリンク]

 

概要

一級アミドをハロゲンと塩基で処理すると、イソシアナート経由の転位反応によって、一炭素減炭した一級アミンが生成する。オリジナルの条件は強アルカリ性条件が必要であり、合成化学的には少々デメリットが多い。

四酢酸鉛や高原子価ヨウ素試薬を用いる改良法も知られている。後者の場合には任意のアルコールを加える事によってカルバメート保護体が得られる。

 

基本文献

  • Hofmann, A. W. Ber. 1881, 14, 2725.
  • Wallis, E. S.; Lane, J. F. Org. React. 19493, 267.
  • Shioiri, T. Comprehensive Organic Synthesis 19916, 800.

 

反応機構

Hoffma1.gif

反応例

(-)-Epibatidineの合成[1] : 転位元の立体配置は保持される。
Hofmann_rearr_3.gif
タミフルの合成[2]
Hofmann_rearr_4.gif

実験手順

改良型Hofmann転位[3] Hofmann_rearr_5.gif

ジムロートと攪拌子を備えた1L丸底フラスコに、p-メトキシベンズアミド(10g, 66mmol), NBS (11.9g,
66mmol)、DBU (22mL, 150mmol)、メタノール(300mL)を加える。溶液を15分間加熱還流し、追加のNBS (11.9g,
66mmol)をゆっくり加え、さらに30分加熱する。メタノールをエバポレータで減圧留去し、残渣を酢酸エチル(500mL)で希釈する。有機層を6N塩酸(2×100mL)、1N水酸化ナトリウム水溶液(2×100mL)、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。ろ過後、エバポレータで溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル50g,
酢酸エチル/ヘキサン(1/1))で精製することで薄黄色の個体を得る。ヘキサンから再結晶することで純品が得られる(8.8g, 73%)。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Evans, D. A.; Scheidt, K. A.; Downey, C. W. Org. Lett. 2001, 3, 3009. DOI: 10.1021/ol016420q

[2] Satoh, N.; Akiba, T.; Yokoshima, S.; Fukuyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 5734. doi:10.1002/anie.200701754

[3] Keillor, J. W.; Huang, X. Org. Synth. 200278, 234. [PDF]

 

関連反応

 

関連書籍

 

関連リンク

関連記事

  1. ジョンソン オレフィン合成 Johnson Olefinatio…
  2. ワッカー酸化 Wacker oxidation
  3. 福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis…
  4. スティーヴンス転位 Stevens Rearrangement
  5. ケック不斉アリル化 Keck Asymmetric Allyla…
  6. マクマリーカップリング McMurry Coupling
  7. 水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム Red…
  8. パール・クノール チオフェン合成 Paal-Knorr Thio…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 東レ先端材料シンポジウム2011に行ってきました
  2. 未来を拓く多彩な色素材料
  3. 2005年ノーベル化学賞『オレフィンメタセシス反応の開発』
  4. ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxidation
  5. シュミット転位 Schmidt Rearrangement
  6. アルケンとニトリルを相互交換する
  7. アメリカ化学留学 ”大まかな流れ 編”
  8. 反応化学の活躍できる場を広げたい!【ケムステ×Hey!Labo 糖化学ノックインインタビュー②】
  9. アメリカ化学留学 ”立志編 ー留学の種類ー”!
  10. セライトのちょっとマニアックな話

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

超塩基に匹敵する強塩基性をもつチタン酸バリウム酸窒化物の合成

第604回のスポットライトリサーチは、東京工業大学 元素戦略MDX研究センターの宮﨑 雅義(みやざぎ…

ニキビ治療薬の成分が発がん性物質に変化?検査会社が注意喚起

2024年3月7日、ブルームバーグ・ニュース及び Yahoo! ニュースに以下の…

ガラスのように透明で曲げられるエアロゲル ―高性能透明断熱材として期待―

第603回のスポットライトリサーチは、ティエムファクトリ株式会社の上岡 良太(うえおか りょうた)さ…

有機合成化学協会誌2024年3月号:遠隔位電子チューニング・含窒素芳香族化合物・ジベンゾクリセン・ロタキサン・近赤外光材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年3月号がオンライン公開されています。…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part3

日本化学会年会の付設展示会に出展する企業とのコラボです。第一弾・第二弾につづいて…

ペロブスカイト太陽電池の学理と技術: カーボンニュートラルを担う国産グリーンテクノロジー (CSJカレントレビュー: 48)

(さらに…)…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part2

前回の第一弾に続いて第二弾。日本化学会年会の付設展示会に出展する企業との…

CIPイノベーション共創プログラム「世界に躍進する創薬・バイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第104春季年会(2024)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界に躍進…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part1

今年も始まりました日本化学会春季年会。対面で復活して2年めですね。今年は…

マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例 -なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-

開催日:2024/03/21 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP