[スポンサーリンク]

E

エッシェンモーザー・タナベ開裂反応 Eschenmoser-Tanabe Fragmentation

[スポンサーリンク]

 

概要

α,β-エポキシケトンをトシルヒドラゾンに変換した後、塩基で処理すると開裂反応が起こる。生成物は非共役カルボニル基を持つアルキンである。 一般に、β位に置換基がある場合に収率よく進行する。

基本文献

  • Eschenmoser, A.; Felix, D.; Ohloff, G. Helv. Chim, Acta 1967, 50, 708. doi:10.1002/hlca.19670500232
  • Schreiber, J.; Felix, D.; Eschenmoser, A.; Winter, M.; Gautschi, F.; Schulte-Elte, K. H.; Sundt, E.; Ohloff, G.; Kalovoda, J.; Kaufmann, H.; Wieland, P.; Anner, G. Helv. Chim. Acta 1967,
    50, 2101. doi:10.1002/hlca.19670500747
  • Tanabe, M.; Crowe, D. F.; Dehn, R, L,; Detre, G. Tetrahedron Lett. 1967, 8, 3943. doi:10.1016/S0040-4039(01)89757-4
  • Felix, D.; Schreiber, J.; Ohloff, G.; Eschenmoser, A. Helv. Chim. Acta 1971, 54, 2896. doi:10.1002/hlca.19710540855
  • Reese, C. B.; Sanders, H. P. Synthesis 1981, 276

 

反応機構

トシルヒドラゾンに塩基を作用させるとオキシラン環が開裂してジアゾ中間体が生じ、続いて窒素とスルホン基が脱離するとともに、アルキンとケトンが生成する。
on-yne10.gif

反応例

β位に置換基のない化合物を同様な条件で処理すると数多くの生成物が得られ、目的のアルキンやアルデヒドは得られない。しかし、2,4-ジニトロフェニルスルホニルヒドラジンを用いれば生じるヒドラゾン中間体は穏やかな条件下で開裂するため、アルデヒドとアルキンを収率良く得ることができる。以下は適用例。[1] on-yne4.gif
Galbulimima alkaloid GB13の合成[2] eschenmoser_fragment_4.gif
Mercicarpineの全合成[3]:セミカルバゾン型基質を用いる改良法[4]を使用している。
eschenmoser_fragment_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Corey, E. J.; Sachdev, H. S. J. Org. Chem. 1975,40, 579. DOI: 10.1021/jo00893a008

[2] Mander, L. N.; McLachlan, M. M. J. Am. Chem. Soc. 2003125, 2400. DOI: 10.1021/ja029725o

[3] Nakajima, R.; Ogino, T.; Yokoshima, S.; Fukuyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 1236. DOI: 10.1021/ja9103233

[4] MacAlpine, G. A.; Warkentin, J. Can. J. Chem. 197856, 308.

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

関連記事

  1. ファン・ロイゼン試薬 van Leusen Reagent (T…
  2. クラウソン=カース ピロール合成 Clauson-Kaas Py…
  3. クライゼン転位 Claisen Rearrangement
  4. ブルック転位 Brook Rearrangement
  5. IBX酸化 IBX Oxidation
  6. トリメチレンメタン付加環化 Trimethylenemethan…
  7. クロム(η6-アレーン)カルボニル錯体 Cr(η6-arene)…
  8. ツヴァイフェル オレフィン化 Zweifel Olefinati…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 計算化学記事まとめ
  2. アルコールのアルカンへの還元 Reduction from Alcohol to Alkane
  3. γ-チューブリン特異的阻害剤の創製
  4. 化学クラスタ発・地震被害報告まとめ
  5. 特許の基礎知識(2)「発明」って何?
  6. サムスン先端研恐るべし -大面積プリンタブルグラフェンの合成-
  7. 第57回若手ペプチド夏の勉強会
  8. ヴィンス・ロテロ Vincent M. Rotello
  9. マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎
  10. 結晶データの登録・検索サービス(Access Structures&Deposit Structures)が公開

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP