[スポンサーリンク]

A

アルブライト・ゴールドマン酸化 Albright-Goldman Oxidation

[スポンサーリンク]

 

概要

無水酢酸をDMSOの活性化剤として用いる酸化反応。室温で進行するが、反応時間は長め(12-24h)。
とりわけ立体的に混み合っている位置の酸化に有用である。

 

基本文献

<Review>

 

開発の歴史

1963年、弱酸存在下アルコールにDMSOとDCCを作用させると酸化反応が進行し対応するアルデヒド、ケトンが得られる得られることをMoffattとPfiltznerらが報告した (Pfitzner-Moffatt Oxidation)。この酸化反応は第1級アルコールを用いても過剰酸化が進行せずアルデヒドが得られるため注目された。

1965年、MoffattとAlbrightらは同時にその反応機構を提唱。無水酢酸や五酸化二リンがDCCと同様、DMSOの活性化剤として活用可能であることがAlbrightら・Onoderaらによって同年見出されている。無水酢酸を用いる手法は開発者の名前を冠し、Albright-Goldman Oxidationと呼ばれている。

1967年にはDoeringとParikhらがSO3-Py錯体をDMSO活性化剤として用いる手法(Parikh-Doering Oxidation)を、1976年および1978年にはSwernらがトリフルオロ酢酸無水物およびオキサリルクロリドをDMSO活性化剤として用いる方法を報告している。このオキサリルクロリド法が、現在最も広く使われるSwern酸化反応である。

 

反応機構

基本的な部分はSwern酸化と変わりない。
albright_goldman_2.gif

反応例

例[1] albright_goldman_3.gif

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

[1] Broka, C. A.; Gerlits, J. F. J. Org. Chem. 198853, 2144. DOI: 10.1021/jo00245a002

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0198556640″ locale=”JP” title=”Oxidation and Reduction in Organic Synthesis (Oxford Chemistry Primers, 6)”][amazonjs asin=”3527323201″ locale=”JP” title=”Modern Oxidation Methods”][amazonjs asin=”1441922547″ locale=”JP” title=”Oxidation of Primary Alcohols to Carboxylic Acids: A Guide to Current Common Practice (Basic Reactions in Organic Synthesis)”]

関連記事

  1. シャウ ピリミジン合成 Shaw Pyrimidine Synt…
  2. N末端選択的タンパク質修飾反応 N-Terminus Selec…
  3. ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxid…
  4. 高井・内本オレフィン合成 Takai-Utimoto Olefi…
  5. 奈良坂・プラサード還元 Narasaka-Prasad Redu…
  6. 触媒的C-H活性化反応 Catalytic C-H activa…
  7. マンダー試薬 Mander’s Reagent
  8. フリードレンダー キノリン合成 Friedlander Quin…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 170年前のワインの味を化学する
  2. (-)-Calycanthine, (+)-Chimonanthine,(+)-Folicanthineの全合成
  3. 三井化学、DXによる企業変革の成果を動画で公開
  4. ガンマ線によるpHイメージングに成功 -スピンを用いて化学状態を非侵襲で観測-
  5. 化学系ブログのランキングチャート
  6. 株式会社メカノクロス – メカノケミストリーの社会実装に向けた企業の設立
  7. トム・マイモニ Thomas J. Maimone
  8. このホウ素、まるで窒素ー酸を塩基に変えるー
  9. 世界初の「窒化タンタル光触媒」、可視光で水分解
  10. 第100回有機合成シンポジウム記念特別講演会に行ってきました

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ―新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成―

第 687回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 有機合成化学教室 (金井…

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP