米メルク、シェリング・プラウを4兆円で買収
Mar
11
2009
米製薬大手メルクは9日、同業のシェリング・プラウを411億ドル(約4兆700億円)で買収すると発表した。 買収は現金と株式を合わせたもので、シェリング株主は一株につきメルク株式0.5767株と現金10.50ドルを受け取る。シェリング株主の持ち株は約32%で、残りはメルク株主分となる。 合併後の新会社はメルクのリチャード・クラーク社長兼最高経営責任者(CEO)が率いることになる。AP通信が伝えたメルク広報担当の話によると、新会社発足に伴い従業員の約15%に当る1万6,000人がリストラされる見通しであるという(引用:IBTimes)。
世界の製薬会社売上第8位のメルク(Merck)と同第18位のシェリング・プラウ(Schering-Plough)の合併が発表されました。なんだか中途半端な規模の合併のように思うひともいるかもしれませんが、それは違います。20世紀はトップを走り続け、製薬再編激化する数年前まではトップ5に君臨していた医薬品業界の優等生メルク。それが18位といっても日本の製薬会社トップの武田薬品工業(同17位)とほぼ同等の売上高を挙げているシェリング・プラウを買収するというわけです。また、シェリング・プラウ社は2007年にオランダの製薬会社オルガノンを買収しており、通年で考えると武田より売上高は高くなります。さらには両社は今年の製薬業界再編は共同出資でメルク/シェリング・プラウ製薬を有しており(同28位、日本の中堅製薬会社よりも大きい)、それをあわせると売上高でファイザーについで第2位に躍り出るといいます。
メルクは2004年にCOX2選択的阻害剤バイオックス(VIOXX)の失敗で5000億円以上の巨額の賠償金を払たことを契機に、現在までリストラや研究所の閉鎖を余儀なくされました(関連記事参照)。それにも関わらず、今回の買収に踏み切るメルクの買収の思惑はなんなのでしょうか?
製薬会社の統合にはいくつか種類がありますが、今回の買収の意図の1つとして、メルクCEOリチャード・クラーク氏は「シェリング・プラウが保有する相補的製品のポートフォリオとパイプラインの獲得のみならず、新興国を含めた米国市場以外へのリーチが大きな目的となる」と述べています。これにより合併後の新会社はフェーズIIIの新薬を18個所有することとなるようです。
また、実は今回メルクの買収であることは確かなのですが、存続会社はシェリング・プラウの方であるらしいのです(ただし新会社名はMerck)。その理由としてシェリング・プラウが販売権を有しているJohnson & Johnson の抗TNFa治療薬レミケード(Remicade)のためではないかといわれています。契約では会社が買収されるなどが起こった場合、その販売権を失うこととなります。形式上シェリング・プラウは存続会社であるため、この販売権を持続させることが出来る可能性があるというわけです。そんな簡単にはいかないと思われますが。
図 抗体医薬「レミケード」
図 両社のCEO。新会社はクラークが率いることとなる
関連書籍

米Merck、米Schering-Plough を買収(化学業界の話題)
Merck To Acquire Partner Schering-Plough(C&EN)
【スポンサード広告】
関連記事
ケムステニュース~化学ニュースサイト~ by Chem-Station内の関連する記事:8件
- 2009年10大化学ニュース(2009年12月30日 01時09分)
- ファイザーがワイスを買収(2009年01月28日 00時12分)
- 万有製薬、つくば研究所を閉鎖(2008年11月07日 00時39分)
- メルク、途上国でエイズ抑制剤を20%値下げ(2006年03月10日 00時14分)
- 米メルク、業績低迷長期化へ(2005年08月26日 17時26分)
- 米メルク、「バイオックス」回収で第2・四半期は減収減益(2005年07月25日 02時05分)
- メルク、主力薬販売停止で15%減益(2005年04月22日 15時22分)
- 新世代鎮痛剤の販売継続を 米政府諮問委が勧告(2005年02月20日 12時34分)
このページをTwitterでつぶやくもしくはReTweetする
つぶやく場合は青、ReTweetしていただける場合は赤をクリックしてください!この記事を評価してくださいませんか?皆さんのコメントもお待ちしております!!
評価は下の星にマウスをあわせてドラッグしてください。1~5段階です。コメントはWrite a reviewをクリックして入力してください。ユーザー登録不要です。
ホーム > 企業情報 , ホーム > 製薬 > 米メルク、シェリング・プラウを4兆円で買収
« ユネスコ女性科学賞:小林教授を表彰 | トップページ | 2009年度日本学士院賞、化学では竜田教授が受賞 »












