トムソン:2005年ノーベル賞の有力候補者を発表

Sep
10
2005
Author: ブレビコミン[Edit ] View: [88]  
Category:ノーベル賞
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ノーベル賞
2005年ノーベル賞受賞者発表に先立ち、トムソンはノーベル賞受賞の可能性のある研究者として、 2005 Thomson Scientific Laureates (トムソンサイエンティフィック栄誉賞) をここに発表します。(引用:トムソンISI
 

世界最大級の特許および学術文献情報データベースを提供しているトムソンISI社から2005年のノーベル賞最有力候補者が発表されました。毎年、この時期になると発表されるのですが、この中で決まるとは限りません。
 化学賞で見ると、2001年ノーベル化学賞の野依良治氏は挙げられていましたが、2000年の白川英樹氏、2002年の田中耕一氏などはまったくのノーマークでした。2004年のユビキチン受賞の3氏(ローズ・チカノヴァー・ヘルシュコ)もはずしました。
 ・・・というより、ここ3年間候補者がまったく変わっていません。逆に言えばそれだけ有力であるということです。化学のブログなので化学賞の候補者についてちょっとだけ解説しましょう。

  • ナノスケールの機械製造およびマイクロエレクトロニクスの大幅な発展を約束する、分子自己集合に関する先駆的研究
J. Fraser Stoddart
J. Fraser Stoddart (Photo:Syllabus Summer Conference)
Saul Winstein Professor of Organic Chemistry, University of California at Los Angeles 
George M. Whitesides
George M. Whitesides (Photo:ETH Life)
Mallinckrodt Professor of Chemistry, Harvard University

新海征治
新海征治  (Photo:nano.net
福岡市 九州大学大学院工学研究院 応用化学部門 教授

 分子自己集合体に関する研究を先駆的に行ってきた方たちです。そんな言葉を使うと小難しいテーマに聞こえますが、今まで人間が組み立ててきた機械類(モーター・スイッチなど)を分子で再現しようとする研究と言った方が分かりやすいかも知れません。
  Stoddart 教授は輪が軸に挟まった形をした分子・ロタキサン、二つ以上の輪を絡ませた分子・カテナン、分子エレベータなどの合成法を開発しています。
 Whitesides教授は、ナノテクノロジー分野できわめて重要な技術の一つとなっている自己組織化チオール単分子膜(SAM)を形成する技術や、センサー・DNAチップ・タンパク分析チップなどにも応用可能とされるミクロ接触印刷法を開発しました。
 新海征治 教授は、螺旋状シリカナノチューブなどの開発者です。
 これらの研究には遊び心がたくさんあります。実際は合成することに時間が取られるため、もちろん困難な研究ではありますが・・・。
 
  • 有機物と天然物の合成に関する研究、特に1994年のタキソール全合成および 1998年~1999年のバンコマイシン全合成の達成
K.C. Nicolaou
K.C. Nicolaou (Photo:MSU Chemistry Department)
Chairman, Department of Chemistry
Aline W. and L.S. Skaggs Professor in Chemical Biology and Darlene Shiley Chair in Chemistry, The Scripps Research Institute

 重要な生理活性天然物の全合成の権威。タキソール、エポチロン、バンコマイシン、ブレベトキシン、ジアゾンアミド、最近では貝毒アザスピロ酸の提唱されていた構造の多数の誤りを合成するによって訂正し、供給することにより貝毒研究の進展に貢献しています。このように合成した天然物を生物学的研究目的に供給することにより、生物学の発展にも貢献しています。もちろん、天然物合成の方法論の発展にも多大な寄与があります。多数の賞を取られておりあともらっていない賞はノーベル賞だけという感じです。

  • 有用な触媒作用、特に高分子化(いわゆるリビング・ポリマーの生成)作用をもつ化合物の設計と合成における画期的研究

Robert H. Grubbs

Robert H. Grubbs
Victor and Elizabeth Atkins Professor of Chemistry
Division of Chemistry and Chemical Engineering
California Institute of Technology

オレフィンメタセシス反応に大変有効な触媒[Grubbs触媒]の開発者です。昔から知られていたメタセシス反応を合成的・工業的に実用レベルまで引き上げました。

 以上、3つの分野での候補を簡単に紹介しました。否定的に見れば、すばらしい結果を挙げた彼らでさえもそれぞれ欠点はあります。分子自己集合体の分野は現在の走りであり、時期的に少し早い気もします。Nicolaou教授の天然物合成は大きな業績ですが、合成という学問の中での業績であり、新しい分野を作ってないとも言えます。メタセシスのGrubbs教授は合成法を一新するほどのインパクトある反応ですが、「いち人名反応」の域を出るかどうか・・・。

  一体この中の誰が取るのでしょうか?もしくはまた、ダークホースが現れるのでしょうか?個人的にはNicolaou教授にとってほしいのですが。それでは10月5日の化学賞の発表をお楽しみに!

  • 関連リンク
ノーベル化学賞2004

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