[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

北原武 Takeshi Kitahara

[スポンサーリンク]

 概要

北原武(きたはらたけし、1943年x月x日- )は、日本の有機化学者である。帝京平成大学薬学部教授(写真:日本学士院)。

経歴

1965 東京大学農学部農芸化学科卒業
1967 東京大学大学院農学系研究科農芸化学専門課程・修士課程修了
1969年  理化学研究所研究員
1970 東京大学大学院農学系研究科農芸化学専門課程・博士課程修了(松井正直教授)
1970 理化学研究所研究員
1974 ピッツバーグ大学化学科博士研究員
1979 東京大学農学部助教授(森謙治教授)
1994 東京大学大学院農学生命科学研究科教授
2004 東京大学名誉教授、北里研究所・基礎研究所部長、帝京平成大学薬学部教授

 

受賞歴

2002 有機合成化学協会賞(学術的)
2003 日本農芸化学会賞

2010 日本学士院賞

 

研究概要

ダニシェフスキージエンの開発
ピッツバーグ大学Danishefsky研究室博士研究員の頃、現在でも複雑な天然物合成などに多用されるDiels-Alder反応に有効な高活性ジエンを見出した。[1]Kitahara-Danishefsky dieneと呼ばれる事もある。

Danishefsky'sdiene.png
生物活性天然有機化合物の合成 
・植物ホルモン、植物生長調節物質、植物保護物質などの合成
ムギネ酸は 鉄欠乏土壌においてイネ科植物の根から分泌され、不溶性の鉄イオンを溶解して体内移行し、クロロフィルの生成に必須の鉄を獲得する機能を有する。北原らは短段階で効率的なルートを開発し、デオキシムギネ酸の合成を達成した。[2]大量供給可能なルートであり現在各種類縁体を含めた生物活性試験を行っている。


deoxymugineic acid.png

殺虫剤ピレスロイドの構造活性相関研究を通じ、酸部分としてテトラメチルシクロプロパンカルボン酸の有用性を初めて明らかにし、世界的に実用化された農業用殺虫剤フェンプロパスリンの開発に貢献した。
・細胞周期阻害物質や酵素阻害剤など、興味深い生命現象解明の鍵となる物質の合成
 従来にない細胞周期阻害機作を持つFR901464及びそのメチルアセタール誘導体の立体選択的全合成に成功し、後者が天然物の数倍の活性を有することを発見した。

コメント&その他

1. ソフトボールを代表としるスポーツが大変好きで、東京大学の福山透先生と対抗でソフトボール大会が開かれることがある。

2. ダニシェフスキージエンを合成した際の実験操作のお話は非常に臨場感があり、聴き手を引き込む力がある。講演は力強くそして素直で大変わかりやすく、学生にも好評である。

名言集

関連動画

関連文献

[1] Danishefsky, S. J.; T. Kitahara. J. Am. Chem. Soc. 1974, 96, 7807. DOI:10.1021/ja00832a031
[2] Miyakoshi, K.; Kitahara, T. Tetrahedron  2001, 57, 3355. DOI: 10.1016/S0040-4020(01)00215-0

 

関連書籍

 

外部リンク

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. デイヴィッド・マクミラン David W. C. MacMill…
  2. トーマス・エブソン Thomas Ebbesen
  3. 諸熊 奎治 Keiji Morokuma
  4. エリック・メガース Eric Meggers
  5. ロバート・バーグマン Robert G. Bergman
  6. チャンパック・チャッタージー Champak Chatterj…
  7. 森本 正和 Masakazu Morimoto
  8. 小林 修 Shu Kobayashi

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 小スケール反応での注意点 失敗しないための処方箋
  2. 芳香族カルボン酸をHAT触媒に応用する
  3. ククルビットウリルのロタキサン形成でClick反応を加速する
  4. 界面活性剤 / surface-active agent, surfactant
  5. モッシャー法 Mosher Method
  6. ポール・ロゼムンド Paul W. K. Rothemund
  7. 化学のあるある誤変換
  8. 100兆分の1秒の極短パルスレーザー光で「化学結合誕生の瞬間」を捉える
  9. 環化異性化反応 Cycloisomerization
  10. 研究室でDIY!~光反応装置をつくろう~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP